A-1.【R-18】風〇嬢ホ〇〇スが英雄の英雄♂を搾り取る話 - 5/5

またとある夜。デルカダールの英雄グレイグが、その大きな体にも抱えるような赤い薔薇の花束を持って、かちこちに不審な歩き方を城下町に晒していた。将軍としての仕事着は物語のように格好いいのにあまりに落差のある彼の私服姿を、たいてい市民たちは夜の暗さを言い訳にして視界に入れずそっとしておいてくれるのだが、今日はそれも無理があった。

城下でグレイグ様にいいひとができたのかね、いやそれにしてはあの格好はさすがに、ホメロス様は助言してくださらないのかしら、冷たい、などとひそひそ話をされているのにも気付かず、幾人かの野次馬に目撃されながらグレイグは娼館に入っていった。今回も予約をしていたのでするすると部屋の前まで通され、深呼吸と、なぜか敬礼をしてから扉をたたく。

「い、いいだろうか? オランピア」

「お入りください」

扉を開けると、これまではドレスをつまんで礼をとってくれていた佳人が駆け寄ってきて、グレイグはあわてて胸に受け止めた。父親を迎える少女のように可憐でひたむきな様子、光の粒をふりまくようなはにかんだ笑顔と流れる金の髪にまずめろめろになり、次いで、こんなに気高くて品のある人が俺に走って抱きついてきている、ということに早くも頭がとろけそうになる。しかし振り払い、グレイグは紳士的にオランピアの肩を優しく剥がして一歩引いた。

「あ……、わたくしったら、嬉しくて。はしたないと思われましたか……?」

金の睫毛を伏せて恥じらうオランピアの言葉にグレイグはまた我を忘れそうにきゅんきゅんとする。ときめきに耐えるために握った手の中で薔薇の茎が圧縮されそうになったので我に返り、花束を小脇に抱えて跪いた。

「将軍?」

「はしたないなどとは思っていない。歓迎してくれて嬉しい。今日は、その、大事な……頼みがあって来たのだ」

「あら……。よろしいですよ。将軍が望まれるのでしたら、わたくし、いろんな恥ずかしいことをしてさしあげる用意がありますわ」

「えっ!? そ、いや、あの、うっ……」

いろんな恥ずかしいことをうっかり想像してしまい耳を真っ赤にしながら、グレイグは咳ばらいをして切り替えた。そして薔薇の花束を捧げ持って言った。

「オランピア、いや、それが本当のあなたの名ではないかもしれんが、美しい人よ。私の妻になっていただけないだろうか!」

「……」

部屋に入ったすぐのところでの全く雰囲気のない結婚の申し出にオランピアは沈黙して、花束は受け取って少し思案するような気配をみせた。彼女ほどの女性だ、このようなことは言われ慣れているのだろうとぐっと歯を噛み、小箱に入った指輪をついで捧げた。オランピアの髪と同じ薄色の金であった。

オランピアは指輪は受け取らず、口を開いた。

「……それは、将軍はこの間わたくしが勝手に『おもてなし』をし過ぎたから、女とそういう仲に陥った責任を取ろうと義に駆られてくださっているのかしら?」

「そ、それは、ある……が、」

「笑い話ですわ。わたくしたちは娼婦ですのよ。殿方を天に昇らせてさしあげるというお仕事なのです。ここに来ておいてそれをふしだらなことと馬鹿にしないでいただきたいわ。それに、責任を取るために仕方なしに身請けされるなど、他の女性ならば嬉しいことでも、私には屈辱にしか感じない」

「っ……違う、そういうことではない」

グレイグが顔を上げると、見慣れたような感覚のする怜悧な切れ長の目が厳しい軽蔑をあらわしていた。ぞっとするほど美しいと思うのもなぜか既視感があったが、それについて深く考えている場合ではなかった。

「お……俺は、あなたを愛しているのだ。あなたでなければ、あんな……、あなたのような女性には、きっとこの一生に一度しか出会えない。仕方なしなどでは絶対にない!」

「本当かしら。せっかくですから教えておいてあげますが、わたくしたちはプロなのですから、お客様の前では優しい顔をするのです。いつもこうではありませんよ。本当は血も涙もない人間かもしれません。将軍はわたくしの本当の顔も心もご存知ないの」

「そんな……ことくらいは、考えた……。だが、本当はどんな顔で、何を考えているのでも、やはりあなたは変わらずあなただと思ってしまう。どうしても……」

言葉にしがたい不思議な慕わしさにグレイグは顔をゆがめた。教え諭すオランピアの言葉がやんだので、立ち上がった。

「客だからと……遠慮せずに、断ってくれていい。ただ俺の気持ちがいい加減なものではないことだけ知っておいてほしい。あなたが他の男のものになると思うと……」

「……いいですよ」

「はっ!」

何度でも断られる前提でとにかく気持ちを伝えに来ただけ、と自分に言い聞かせていたグレイグはまさかの返事に耳を疑った。あわてて色よい返事をしてくれた佳人の顔を見ると、喜びにうすく頬を染めてはにかむとかいった理想像とは違って平静だったが、しかしやはりどうしようもなく惹かれてしまう、自分に向けて授けられた奇跡のような容貌であった。

「えっ、い、いいのか? そのようなうまい話……俺は夢を見ているのか……」

「自分で申し込まれたのに何をおっしゃるの。将軍は素敵な方。プロポーズは嬉しく思いますわ。でも条件があります」

「おお……。望むところだ、なんだってやり通してみせるぞ!」

昔幼馴染が寝物語に読んでくれた、戦士ネルセンの妻問いの話を思い出してグレイグはがぜん発奮した。心をひたすら捧げて相手をうかがうよりも、こういうふうに困難を越えろと言われたほうが性に合う。そういえばオランピアはあの話の気高い人魚の王女のようだ。

ロマンに燃えているグレイグにオランピアはにいっと笑んだ。

「わたくしとの勝負に勝ったらね」

「勝負? なんの勝負だろうか」

「わたくしは寂しがりな女……。夫となる方には、上手でなくてもいいのです、いつもたっぷりと愛していただきたいわ。そうでなければ、移り気をしてしまうかもしれません。将軍にそのような不貞をしたくはありませんもの。だから、わたくしをじゅうぶんに満足させていただきたいの……」

「まっ……満足っ……!? そ、それはつまり、」

寂しがりやのオランピア、たっぷりと愛して、十分に満足させて、という言葉のめくるめく刺激にグレイグは早くも少し前屈みになる。勝負とはそういう話なのか。

この歳で自慢ではないが持久力にも精力にも自信がある。対して、オランピアは巧みとはいえ細くたおやかだ。これは出来レースではないか、もしやプロポーズを受けてくれるつもりで恥ずかしがって課題を仕掛けているのか、なんと清楚で可愛いのだ、と、勝負の内容と矛盾したことを考えてグレイグは舞い上がった。

「そう。今夜……私が満足するまで、たくさん出してくださいますか? そうね、十回」

「じゅっ……」

「精のつくお酒をご用意しています。いえ、勝負に勝つ自信がなくて遠慮されるのでしたら、このお話はなかったことに……」

つい、と指輪を押し返してくるオランピアの残念そうな横顔を見て、なかったことにするという選択は男にはなかった。その手を掴み、大きな花束ごと引き寄せる。

「いや! 遠慮などしない、正々堂々受けて立つ! 俺が心配なのはそんなにしてオランピアの体が壊れないかどうかだけだ」

「あら、ずいぶんと……持ち物に自信がおありなのね? わたくしが上になって動かせていただきますが、それでも?」

「うっ……、え……!」

想像して顔と下半身に血が集まりずきずきとした。鼻血が出るのではないかと気が気でなく、絶句しながらこくこくと条件を呑む。本当は真紅のシーツに金髪を広げて覆い被さり細い体を抱きしめたいが、それは晴れて彼女を手に入れてからのこと、これは試練なのだから仕方がない。試練なので、自分の体の上で美しいものが踊り、ぷるぷると揺れても仕方がないのだ。うん。仕方がない……。

健気に苦痛に耐えるような顔をしているグレイグの手から、オランピアは指輪の箱を取り、これは保留ということで、と応接机の上に置いた。そして戸棚からワインのような瓶とグラスを二つ出して赤い液体を注いでソファに招き、寄り添って座った。深い赤の酒にオランピアの胸元が透けて見える。白く柔らかな肌とドレスがいっそう淡い輝きを放つように映え、グレイグは眩しく目を細める。こんなに眩しく見たことがあるのは赤ワインをあおるホメロスくらいだ。

「では、勝負ですわね。これは強壮酒です。勝負の前に、神聖に乾杯とまいりましょう」

「オランピアも飲むのか? 体に害はないのか」

「ですから、わたくしも一緒にいただくのです。毒など入っていないと証したいのですもの」

凛と言ったオランピアに、なんと騎士のように堂々とした振る舞いの人だろう、とグレイグは惚れ直してしまう。オランピアは嫣然と笑ってグラスを上げた。

「将軍の勇気に」

「……我が妻になる人の気高さに……!」

「まあ、おほほ……」

オランピアの高らかな笑い声にグラスを合わせる音が重なった。酒は確かに薬草のような複雑な香りがした。ぐいとあおって早く勝負の場に出ようとしたが、ゆっくり、とオランピアがグラスを片手にもたれてきたので、グレイグはちびちびと飲んだ。それがムードというものなのだろう。二人は無言だったが、今、これからこの夜に何度も交わる至上の女性と寄り添ってそのための酒を飲んでいるのだ、と考えて痛いほど興奮した。

「では」

最後の一口を飲みきり、オランピアは立ち上がった。洗い場に行くのだとわかりグレイグもひょこひょこと続いた。

 

 

洗い場に入るとすでにオランピアは裸で、それだけで暴発しそうになっているのを察してオランピアは局部を先に洗ってくれた。からだを触れ合わせず、向かい合って立つと怜悧な鼻筋に琥珀色の目、金の後れ毛のかかるうなじ、すばらしいふくらみの薔薇色の頂点がすべて視界に入った。

「あ……あ、オランピア……、すまない……」

「うれしいわ、もう一回目ですわね」

いとおしそうな声に、これでも可なルールなのだな! と悟りグレイグは我慢の緒をぶち切った。熱い、といううっとりとしたオランピアの声で白い太腿にかけてしまったことがわかり、一度ではまったく落ち着かなかった。

湯で精液を流すとそのままオランピアは体の前面どうしを石鹸の泡ごしに密着させて洗った。『特別な海綿』の正体が明かされているところだったが、グレイグは目の前で繰り広げられている天国の光景に夢中で過去のことは考えていない。

「すごい、おなかに……硬いのが当たっていますよ……。気持ちいいですか……?」

「オランピア……ああ……そ、そんな……、最高だ……」

「将軍は手を動かさないで。私の言うことを聞いて」

されるがままに前側を洗われ、後ろを向かされる。目を閉じて、と言われてその通りにすると仮面の上から目隠しをされた。そうすると背中を洗う手の動きがいっそうはっきりと感じられ、自分の荒い呼吸もわかってさらに興奮する。ふと、背中にてのひらの面ではなく指先のような点の感触が感じられた。いや、指先ではない。もっと小さく、芯のあるような……。

「う、ううッ……!」

はっと見当がついてグレイグは隠れている目元も覆った。これは、この前の逢瀬で差し出されて狂ったようにねぶってしまったあの、薔薇色の尊いもの!

ぴと、ぴと、とそれが何度か触れ、焦らしに気がおかしくなりそうになったころオランピアは背後から泡を流して体を拭いた。目隠しをとらないままで寝室に導かれ、グレイグには自分の心臓の音しか聞こえない。ベッドに仰向けに寝かされ、期待が最高潮に高まったグレイグの昂りを膝がかすめて跨ぐ。その刺激だけでついに暴発してしまった。

「クッ、あ、あああ……! す、すまない、また、オランピア、ううッ……」

「二回目」

低く粘り気のある声で数えられる。冷ややかではあるが何やらわがままを許されるような、安心する声色で、ああ好きだ、と思う。オランピアが目隠しに手をかけた。すばらしい眺めを妄想し、まだまだこれから何戦でもいける、と生唾を飲みこんだ。

目隠しを外され白い肌が目に入る。金の髪も下ろされてきらきらと蜜のように輝いている。想像の中よりも白の面積が大きい。まぶしくて美しいものが増えているのはいい、ありがたいことだと見上げた美貌は女王のようにこちらを見下ろして――、

「やあ、将軍。二度も先走るとはさすがの空回りでいらっしゃるな? 恐れ入ったよ」

「ふぁ……っ……」

体の上にのっしと跨った全裸の――美しい男、均整のとれた白い体に長い長い金髪の、男――男に、なぜと考えるより早く頭を掴まれ、間近でがちりと目を合わされる。途端四肢がしびれて言うことをきかなくなり、麻痺の術をかけられたのだと知る。口は動くようだったので叫んだ。

「ホメロス、ホメロス、か!? なんっ、どういうことだ!?」

「ホメロスではない。オランピアだ。おまえは私が本当はどんな心の何物でも愛すると言ったであろう? 美しくて気高い私を妻にしたいのだろう? グレイグふぜいが生意気なことだ。勝負はまだ始まったばかりだぞ」

「いや、おまえは確かに美しく気高いが、オランピアは女性で……」

さっきの酒のせいなのか酩酊感があり、しどろもどろに返答をしてしまう。ホメロスは邪悪に笑い、動けないグレイグの顔の上にのしかかる。

「ん、グッ!」

「女がなんだ? ああ、おっぱいが欲しいのだろう。知っているぞ。この間は赤子のようにこれを慕っていたものなあ、そらそら、くれてやる! 吸ってみろ!」

「う、むぅ……っ」

正確にぷっくりと突き出したものを唇の中央に押し付けてくる体の動かし方の巧みさに驚いて感心した。いや感心している場合ではないだろうとはね除けようとする。しかし唇に挟まったものもまた驚くほどに気持ちがよく震えてしまう。

つい唇が動いてしまうと、乳首のいじらしい硬度、乳輪のなめらかさ、何より平らで硬いはずだと見積もっていた男の胸の肌と筋肉の意外な弾力を感じた。そんなはずは、と思って舌で舐め上げるとやはりなんともいえぬ柔らかさがあった。

「あ、あ……ッ、うまいか、いい子だ……! 上手だぞグレイグ……ッ」

熱い腕に頭を抱えられ、髪を撫でられるのが心地よくグレイグは前回と同じ忘我に近付いていた。なにせ状況はほとんど同じなのだ。少なくとも視野が極小に限られたグレイグにはそう思えた。

「あっ……う、ふふ、いい子だな、グレイグ? ハハッ、鼻息が……すごいじゃないか。いいぞ、い……い」

乳首は包んでもなぞっても吸っても唇と舌に気持ちよく、鼻や顎を押し付けても手ごたえのある弾力を感じる。おまけに貪ればいい子だと好きな声が響き、どんどん楽しげに苦しげになる。手足が動いたなら、両手でつかんで揉みたい! とよだれが出る。

「ほら、グレイグ、またこんなにっ……なっているぞ。おまえは本当におっぱいが、あっ、はぁ、好きなのだな、男のでも興奮できるとはなぁ、確かに、ハッ! おまえの乳も情けなくて、たいそう可愛らしいぞ!」

「ンぅ……ッ!」

勃起を撫でたホメロスの手に乳首をつまみあげられ、グレイグは乳を吸い続けながら苦痛の声をもらした。しかしその後のホメロスの指は繊細で、弱い力で挟んでくにくにとほぐし、たまに脇から胸を揉み上げたり指の腹で摩擦してきた。たちまち気持ちよくなり腰が動くが、脚が麻痺した状態ではもぞもぞと震える程度にしかならない。

「どうした、ン? もうおねんねか? 口がお留守だとオランピアが寂しがるぞ、いいのか? やめてしまうぞ」

「う、あぅ、ほめ……す、ちゅ、ほめろ、す、ンンッ、んっ、ふうう……!」

「……いいぞ、いいぞ、ハァ、あっ……う、いい、いい子だ、グレイグ。上手だ、い、いい……、あああ……! い、く……!」

胸板の左右のあわいあたりに、硬いものを押し付けられているのを感じた。脇から胸筋を揉まれる気持ちよさで口を開いてしまわぬよう必死になって吸っていると、溝をぐりぐりと擦られる。その肉の硬さも熱さも筋肉の弾力とぶつかり合って、気持ちがいい。

「あっ、はあ……あ、はぅっ、グレイグ、出すぞ、出すぞ、いいなっ? あッ、う……う!」

髪をぎゅっと掴まれ、熱いほとばしりがグレイグの首から顎までにかかる。ホメロスが絶頂している最中に、剣の稽古で隙を突くようにグレイグはびんと勃った乳頭を舌で圧し潰す。うめき声が追加であがるのを追い立てる。

「や……っめろ! この乳ダルマが!」

のしかかってきていた胸が勢いよくどいた。親友の裸が目に入ってグレイグは今俺は何をしていたんだと思考能力を奮い立たせる。奮い立たせるが、左右で様子の違う薔薇色の乳首が視線を集中させてきてすぐわけがわからなくなる。視界のピントの外でホメロスが太腿の上まで下がり、片頬をつりあげて笑った。

「は、ははは……! いいざまだぞ、将軍。男にぶちまけられてまだこの元気さか? 惚れた女に騙されてかわいそうな馬鹿だ。こんな勝負は棄権しても騎士の不名誉にはあたらないのではないか?」

「う……、オランピア……ホメロス……俺の、妻に……」

「たわけが。誰がおまえの妻になどなってやるものか! おまえの力も吸ってやらん、おまえは男の俺相手に無様にあと数発も無駄撃ちをしたら終わるのだ。どうだ? 棄権するか? 許してやらんでもないぞ?」

敵に罵声を吐くときよりもなお楽しそうに顔を歪めて、ホメロスはいまだ硬い陰茎をはたいて揺らした。すさまじく邪悪なその顔も淫靡に見える。結婚の申し込みをしたのが女だったのか親友だったのかも混濁しているグレイグに、しかもいつもより倍も前しか見えていない視界に退却の文字などなかった。

「約束……したのだ。棄権などしない!」

「フン、よく言った! 褒美をやるぞ!」

ホメロスはすっくと立ち上がり、後ろに片手をまわした。見つめているとその手は股から何かをゆっくりと引き出し、ぬるぬるのそれを投げ捨てた。穴を広げておくような性具だと気付いてグレイグは興奮とともに錯乱する。

「ホメ……いや……、やはり、女……!」

「馬鹿が。黙って見ていろ、男の尻に喰われるのをな!」

「う、く!?」

ホメロスは万端に準備された尻穴を指で拡げ腰を落とした。先端が埋まったとき視覚と触覚の刺激で目の前に火花が散る。きつい肉の輪と弾力の強い肉筒にずぶずぶと呑み込まれ、ものが長いぶん長いこと驚くべき快感は続いた。

「グッ、くうう……!」

「グレイグ、グレイグっ、そら、見ろ、わざわざ準備をしておいてやったおかげで、おまえのあさましいのが全部入るぞ! 全部ッ……、あ、あッ……ぐ、」

「う……ゥ……!」

ぬるぬると湿って熱く、きつい肉にすべてが埋まり、ホメロスの尻が腰に着地する。小さく締まった尻は石膏像のように硬いと思っていたのに、やはり胸筋と同じに湿った肌と筋肉の柔らかさがあった。密着している面がそこから広がり、ホメロスが上体を倒してくる。さらさらと長い髪が落ちる。いつもは涼しげに細められている目が見開かれて光り、自分を射抜いているのがたまらない。嘲笑う口の中に見える歯や舌にしゃぶりつきたい。

「は……ッ! や、はり、こうでなくては、な! おまえのブツは女の体には手に余る。この俺がっ、直々に相手をしてやらねばと思ったのだ。そうだろう? 喜ぶがいい。うぁ、おッ、おまえも手ごたえがあって気持ちよかろう?」

「ウッ、う、気持…ち、いっ……、はぁっ、ホ、ホメロス、あ、つ……」

犬のように舌を出してねだってしまっているのを察してくれたのか、ホメロスはにやりと笑って髪をひっつかんで口に噛みついてくれた。舌をしゃぶり、歯を舐め回すのに夢中になる間にホメロスは腰をくねらせ、生き物に丸呑みにされて締めつけられているような感覚を与えてくる。

「……っぷ、あ……ッ、ま、またでかくなったのか? もう出そうなのか? ん? そら、そら、どうだ!」

「うううッ、やめ、うっ、」

長いこと口を吸っていたのか、一瞬だけだったのか。ホメロスは口を離すと体を起こして激しく腰を振りたてた。責め立てるホメロスの声とぐちゅぐちゅと抜き挿しの音がする。

「あ、ああー……、ふうッ、あッ、いい、ぞ……、いいっ……、何がやめろだ、おまえのは何度も震えて、俺に出したいと言っているぞ……!」

「ホ……メロ、スッ……、ほめろす、すまん、出る……!」

「ハァ? すまん出るで済むか、この不調法者めが! ちゃんと出したいと言え、俺に出させてほしいと言え!」

「ッ、出したい……! お、おまえの中に出させてくれ! 頼む!」

「フン、上出来……だ!」

ほとんど抜けかけて焦らされていたものを、根元まで一気に呑み込まれてたまらずグレイグはホメロスの奥に射精した。射精の震えに合わせて白い腹や胸がびくびくと動く。絶頂の表情を見ようとして片目だけはうすく開けているホメロスの顔もまたうっとりとしていて、ホメロスも気持ちよかったのだ、と安心した。

 

「……おい、誰が寝ていいと言った」

夢心地でぼんやりと上に乗った男を見ているグレイグの頬が、ぱしりと打たれた。はっと我に返るとホメロスが濡れ布巾で顎髭をぬぐってくれて、お互いの体液で汚れた体を拭き清めてくれた。

手の麻痺が薄れていたので喜んで抱き寄せようとすると、舌打ちとともに忌々しげに手をはね飛ばされた。

「触るな。私が動くから手は動かすなと言っただろうが」

「あっ、あ、すまん……?」

「まだ三回目だぞ」

「う……ッ!?」

回数を数える言葉、陰茎をぎゅっと握られた感覚にグレイグは勝負のことを思い出す。見ると握られたのではなく、まだ繋がったままだった萎えたものをホメロスの尻穴が強く締めつけたらしかった。淫蕩な状況にかっと顔は熱くなるが、三回の射精でいい加減に下半身は落ち着いている。

「待っ、待ってくれ。少し待ってくれたら……。いったばかりだから、」

「待てん。……英雄殿のは萎えてもこんな下品な大きさだが、やわやわとしていてなかなか可愛いではないか。さあ、また硬くなるまで可愛がってやるとしよう」

きゅうきゅうと吸い付くようにリズミカルに締めつけられ、達して間もないそこには強すぎる刺激にグレイグは脚をばたつかせる。ホメロスはため息をついてみせ、また髪とともに上体を倒して囁いた。

「夜は短いのだ。私をたっぷり愛して、おまえのものにしてくれるのだろう? 待ちきれん……」

汗で金髪のはりついたうす赤い頬、悩ましげに眉をひそめ吐息を絡みつかせてくる佳人の痴態にぐんと下半身が反応した。じわじわと着実に硬度を持ちはじめる楔に気付き、ホメロスはうめくグレイグを睥睨して高笑いした。

「ははは、傑作だぞ、馬鹿な男め……! せいぜい資源を無駄にするがいいわ! アーッハハハハハ!」

 

 

 

 

翌朝、げっそりとこけた顔で目覚めたグレイグは隣に眠っていたはずの『誰か』を探して置手紙を発見することになった。

 

『残念ですけれど、わたくしには夫がおりますの。将軍ならもしやと思いましたが、今の夫のほうがわたくしを愛してくれます。
でも、お気持ちは嬉しく受け取りました。せめてこの仕事はやめて、他の殿方に触れないことにいたします。オランピアは夫と幸せに暮らしているとお思いくださいませ』

 

それきり何度店を訪ねてもオランピアはもう在籍していないと言われた。騎士たちの噂でもオランピアは誰かたいそうな金持ちに身請けされたのだと言われていた。それを見かけるとグレイグは咎めるでもなく、しかし苦い顔でじっと固まるのだった。

「どうした、グレイグ。おまえらしくもない。市井の下世話な噂話などが気になるのか」

踏み出して何かを言えずにいるグレイグに親友が後ろから声をかけた。あの夜見た妙な夢を気にしていっとき避けてしまったが、ホメロスは変わらずいつも通りの涼しく辛辣なホメロスだった。

「騎士たちの心を惑わす女が、金持ちの宝箱に収められたという話のようだ。じきに奴らも訓練に集中するだろう」

「違う……、彼女は金で買われて妾になったりなどしない」

グレイグは振り返らず小さな声で、ホメロスにだけ聞こえるように訥々と言った。

「きっと、強く優しい、心から愛する夫とともに幸せにしているのだ。そう言ったのだ……」

「……それはなんだ、どこ情報だ? いつもの妄想か?」

「……秘密の情報なのだ。他の奴には言わんでくれ」

 

ホメロスは返事の代わりにふ、と息を吐いた。少しでも人に言えて胸のつかえがとれたのかグレイグはその場を去った。その広く黒に包まれた、甘い夢ばかり見る背中を見てホメロスは笑った。

「甘ったれが」

金の小さな環を真上に放り投げ、ふたたび取った。それはきらきらと細く輝き、剣だことペンだこの消えぬ指には入りそうになかった。

 

 

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