A-4.【R-18】身バレだよ!オランピアさん - 4/4

 

「ホメロス……大丈夫か……?」

「……だいじょうぶ、だ……。立って見下ろすな、くそ……ベッドに入れ……」

気配で立ったことがわかるのか、ホメロスはベッドを叩いて上がるようにうながした。回り込んで逆から上がり、ベッドの際にいるホメロスを抱き上げて中央に寝かせてやって、グレイグは尻尾を振っているのを隠すようにそわそわと聞いた。

「その、今のは、いわゆる……『いった』のか?」

「…………チィッ……」

「うう……」

大きな舌打ちで答えられ、悲しみながらもそれがほとんど肯定の返事なのだと知っていたのでグレイグは恋人を抱きしめた。ホメロスに与えられる快感はいつも我を忘れるようなものだが、グレイグから与えている快感はまだ拙く、ホメロスは概ね気難しげな顔をしていて、後ろだけで絶頂しているところをまだ見たことがないような気がした。

ホメロスは腕の中で少しもぞもそとした。

「いったのだか、どうだか、その稚拙な触れ方では得意に思われても不愉快だ。おまえが私に感じてほしいと言うから、抑えんように努力したのだ……。私の功績だ……」

「そうなのか、なんと……! ありがとう、ホメロス。おまえは勇気のある男だ」

「はぁ……? 何を言ってるのかわからん……。というか俺は、客の男どもが屈服して馬鹿になって精を捧げてくるのが楽しくて興奮していたのだ、こういうのはこの体ではしたことがない」

「こういうのとはなんだ」

「…………」

また小さく舌打ちをされる。意味を考えようとしていると、昂りの先を包み撫でられて頭の活動が止まる。布を滑らせるような動きはいつもよりなおなめらかで、手指の柔らかさだけでなく、ぬるぬるしているのが感じられた。

「あ、わっ」

「……ま、このくらいならばなんとか……」

つぶやきながらホメロスは自分の体と手に握ったものの位置を調整し、裂け目とふとももの間に正面からにゅるりと導いた。あああ、とグレイグは熱い息を吐く。肩にしがみつくようにして体を支えながら、にゅるり、にゅるり、とホメロスは腰だけをくねらせた。

「う、あ……、気持ちいい……。おまえも、これが気持ちいいのか……?」

「……中に、入れてもいい」

「はぁ、はぁ……。無理はしていないか? ふ……っ。本当にしてほしいことか?」

ホメロスは呆れたようにため息をついた。そして何も言わずに仰向けになって、上に乗れと指差した。グレイグが覆い被さると、脚の間から脚をしゅるりと抜き出して、逆に太い腿を外側から挟んだ。腰を浮かせ、自分で枕を入れる。招くような動きに、グレイグは膝で半歩にじり寄る。

ホメロスは睨みながら笑った。

「来い……。このオランピアをベッドに見下ろして抱く、最初で最後の男になれ」

「……ッ……!」

煽られて言葉が出なかった。息の塊を腹から長く吐き出しながら、潰すように体を倒す。まだまとわっているシーツのドレスが邪魔で結び目をほどき、胸をじかに押し付けあう。肌が吸いつき、お互いの強い鼓動で肉どうしがぷるぷると震えて喜ぶ。獣のように湿って荒い息を耳元に浴びせられてホメロスは身じろぐ。

「早くしろ……。それ以上でかくなるな……早く……」

「あ……。すまない、……入るぞ……」

「う……っ、う、ふぅ、」

両脚を抱える。助走をつけるように裂け目全体を一度往復し、手で支えて先の先を埋めると、それだけでまるい尻ごと締めつける筋肉がうねっているのが感じられた。ホメロスは横を向いて目を閉じ、口元を隠して険しい眉をしているが、嬉しく待ち遠しく思ってくれているのかとたまらなくなる。

「んう、……あ、あ、ああー!」

「ンッ……!」

太いひっかかりが狭い部分を貫通し、押し出されるようにホメロスは悲鳴をあげた。きつかっただろうかと思って止まり、ホメロスの顔をうかがうと、少し涙をにじませている。抜くのも痛いだろうかと思って止まったままグレイグは心配した。

「い、痛いか? 痛いのかやはり? どうするのがいい? やめるか?」

「な……にを、言ってる……」

ホメロスの琥珀の目がうすく開き、見上げて笑った。口元を覆っていた手が伸ばされ、グレイグの頬に触れる。

「おまえが、あんまり馬鹿みたいに可愛く、大きくして、入ってきて……はぁ……、」

「ホメロ、ス……、あまり、煽るな……。つらくなるぞ……」

「い、い。痛くていい。気持ちいいんだ。おまえが、ああ、はぁ、気持ちいい……。もっと、来い、もっとだ……!」

「ホメロス……ッ!」

ぐいぐいと奥に押し入っていくたび、ホメロスは普段聞かせてくれないような甘い悲鳴をあげてくれた。気持ちいい、きもちいい、と口に出すのは、やはりグレイグの望み通りにつとめて感じようとしてくれている努力の一環なのだろうか。自分の性技だけで高く高く昇りつめてもらうのは無理だとわかっているので、すばらしくありがたかった。それに可愛くて愛おしかった。

やがて行き止まりと先端がとんと押し合い、しかし腰と腰がまるで触れ合わないことにホメロスは焦れて舌打ちをした。

「はぁ、はっ、さ……、さすがに、全部は……無理か。わかっていたが……また、クッ……、下がってきてしまって……」

「下がっ……? なんだ……?」

「女の、赤子を育てるところだ。俺のそこには子は……できんがな。おまえの、その、先が当たっている……、たぶん少し下側が……その口だ。女は感じるとそれが入口の方へ少し下がってくる……子種を呑もうとしてな。まあ、おまえのそのでかすぎる持ち物には、関係……あるまいが……」

「そう、なのか……。痛いのか……? ここは……」

「……ふ。全部入らなくても、つまらなくないならだが……少しずつ、突いてみるか? やってみろ……」

つまらなくなどなかった。確かに男同士の筋肉質な腰を叩きつけあうような交わりもたまらなく満たされるが、素直に快感を追って教えてくれる今のホメロスは日に日に育っていくみずみずしい花のようだった。とん、とん、とかるく突くと悩ましく息を吐き、上半身をくねらせた。

「そ……。抉る、必要はない……。そうだ……揺らせ……。振動……で、はぁ……、愛撫しろ……。そ、……いう、場所……」

「ここは……女性の感じるところなのか? おまえの、いいところなのか? 気持ちいいか……?」

「ん……。きもち……い……、奥……腹まで、震えて……、だんだん……。
……ん、えらい、ぞ、グレイグ。ふふ、我慢しているな……。……いい子だ……上手だぞ……」

手招きをされ、頭を撫でられる。ホメロスはずっと息が荒く甘い。前傾になったせいでグレイグも射精感が急に高まり、さりとてせっかく撫でてくれる手から逃れるわけにもいかず音を上げた。

「うっ、ん……、はぁ……っ! げ、限界だ。ホメロス、ホメロスっ、」

「あっ、で、出るのか? ハァッ、はは! 良い。抜くな、出せ、中に出せ!」

ホメロスは楽しそうに笑い、髪に指を差し込んで愛撫した。ただ自分だけ達するのもすまなく思え、腰を振りながら拙く快感の芽を指でいじる。それだけではホメロスはおお偉い偉いと笑っていたが、言われるままに遠慮なく中に射精すると大きく体を震わせた。

「あ! あ、か、かかって、うぁ、ああっ、つ、つよ、」

「う、ぬ、んんっ……!」

「ひ、ひっ、まだ、!? ク、ああッ、いい、い……! あ! ……っあア!」

達しながらぎゅうぎゅうと断続的に肉壁に迫られて、熱くふくれてぬるぬるで、グレイグもわけがわからなくなり倒れ込んで声をあげた。吸い寄せられるように片手で掴んだ乳房をすがるように揉みしだくと、腕でも脚でも強くしがみつかれ、少しも退くことを許されぬまま長い一度を出しきった。

 

 

「おい……、重いなんてものじゃない……潰れる……」

「……あ、おっ、すまん!」

ひとつにとろけている恋人の体が今どういう状態なのかも忘れるほどうっとりしていたグレイグははっと飛び起きた。目を閉じて呼吸を落ち着けていくホメロスは、凝脂の肌をあまり乱さないいつもの事後よりもずっと肌を紅潮させている。やはり無理をさせたのかとグレイグはあわてた。

「大丈夫か、ホメロス? 疲れたか、俺は痛くしなかったか」

ホメロスは口元だけを動かして、ふ、と笑った。それを見て少しは安心できたが、やはり疲れさせたのだ、と反省する。不出来な生徒に教えを垂れてくれながらだったのだ、気疲れもしただろう。本当はグレイグはまだまだもっとしたかったのだが、今日は諦めようと思った。

そうっとつながった部分を引いた。抜き出せば大量に出した自分の精液が薔薇色の股ぐらの真ん中からとろりとこぼれるのではないかと、鮮烈な絵面の想像だけでふたたび興奮してしまったのだが、実際薄目で見ながら抜いても何も出てはこなかった。はて、こんな華奢な体があれを全部呑み乾してくれたのか、と不思議に感動していると、腕を引かれた。

「ん、どうしたホメロス。今体を拭いて」

「いい……。こちらへ来い……」

ホメロスは優しく微笑んで手招きしていた。数年前に何度も夢に見たような図で、グレイグは少年のようにぽうっとして促されるままに向かい合って横になった。ホメロスはベッドサイドから何かを取り、また至近距離に添い寝した。見つめてくるホメロスの胸のふくらみは腕と腕にきゅっと潰され、盛り上がったところに淡い月明かりを反射させていた。

「将軍。愛しいかた……」

「……! ホメロス……」

優雅でたおやかな女の言葉遣い。オランピアの声であった。もうホメロスだとわかっているし、彼にしてみれば人を翻弄する盛大な嘘なのだともわかるのに、違和感は覚えなかった。むしろ普段は愛しているとか好いているとか容易に言わないホメロスが、冗談めかして本心を伝えてくれているようで、聞き逃すまいとグレイグは真剣に聞いた。

「ねえ、本当はね。あの最後の日もわたくし、怖くて逃げたのです。最初に訪ねてくださった日と同じ」

「何が怖かったんだ。夫君か」

「いいえ。あんまり、わたし、将軍が好きで。おかしくなってしまうと思ったの。約束を破って逃げました。もうわたしをお放しにならないで……」

オランピアの金色のまつげから、涙が流れた。美しかった。芝居でも策略でも嘘泣きでも、男の姿では絶対に見せないような顔でも、それもまたホメロスの真実であろうと思った。

細い手が、金の指輪を差し出した。

「ここに、はめてくださいますか?」

グレイグはかつて自分が捧げた指輪を受け取り、もう一度捧げた。金の環は薬指にぴったりとはまった。もしかしたらオランピアが、ちゃんと自分に合うように直しを加えたのかもしれなかった。裸で、添い寝のままに指輪と手の甲にキスを贈った。

「私の妻……」

感極まってそう呼ぶと、ふふ、と笑う息が聞こえた。そのまま左手は愛おしげにグレイグの頬を撫でてくれて、両側から包まれ……、

いつの間にか仰向けにされ頭を胸に抱かれていた。ほおおぉ、という感嘆の息が聖なる谷間にくぐもる。

「可愛い、可愛い、わたしの男。ハッ、顔がでかくて、挟めませんわ」

オランピアとホメロスの言葉が変に混じったが、正真正銘!ド真ん中よりさらに先! のぱふぱふに魂を奪われているグレイグには全く気にならない。優しい快楽。痺れるような……。

「……よし」

「はぇっ」

急に冷淡に離れられてグレイグは泣きそうな子供のような声を出した。ホメロスは馬乗りに体を起こしていた。金の髪が体の前後に流れ、美しい光景だったが、ふいにわけのわからぬ快感と腹の底から燃え尽きるような感覚が、既視感として襲う。急に撫でる刺激がもたらされた。

「んぅっ」

「あらあら、将軍の将軍はさすが疲れ知らずの英雄ですこと。いい子だぞ。もう一回してやろうな?」

「え……っ! はっ、それなら今度こそもっとおまえを気持ちよくする! させてくれ! ホメロスは疲れたろうし楽にしていてくれ!」

「おお、殊勝なことだ。ではおまえの言う通り、遠慮なく快楽を貪らせてもらうぞ。さっきのおまえの射精、びゅうびゅう強く中にかかってたまらなかった……あのような悦さは初めてだった……」

淫蕩に顔を歪めたホメロスは濡れそぼった裂け目をぴとぴと先端に当てた。自分に奉仕させてくれる、という話の雲行きが何やらおかしいことにグレイグは気付きはじめたが、ホメロスのそこに触れるたび痺れが背骨を通っていき、腕もまともに上げる気になれない。

そのうちホメロスは先をにゅぷにゅぷとしまっては出しを繰り返しながら、乳房を潰すように上半身を密着させてくる。陰茎の下の方もびしょ濡れのふとももに抱きしめられ、角度を上げられたせいだろうか、なぜかそれだけで出したいような気がよぎってしまう。

「あっ、む、ううぁ……!」

「ほぉら、またたっぷり中で出せ、搾ってやる! は……はっ! ククッ、おまえの極上の精を吸ったら疲れが吹っ飛んだどころか、昂ってしょうがないわ!」

吸ったのか! だからあんなにたくさんがあふれないのか!

グレイグはそこで目の前の女魔物の性質を思い出して、ホメロスがこれからどうやって最大限楽しむつもりなのかをようやく理解した。理解したところでずぶぶぶと快楽の沼に吸い込まれる。魔物に愛され捕食される毒でつのる射精感。目の前の恋人へ飛び込んだ熱い愛しさ。ごちゃごちゃに混じりあい、のけぞってこらえるが強く踏みとどまれない。

「ひ、ほめろ、す、待て、待て待てちょ、ちょっと待て変だ、出てしまう」

「ああ変になれ。オランピアが満足するまでたくさん愛してくれるのだろう? ん? 責任を取れるか将軍? 信じているぞ、あのときも勝負に勝ったおまえだからなぁ!」

「あっ、おわっ、ホメロス、ホメロスぅっ」

愛しい人の温かい中に入って抱きしめられ愛されている。胸の上では神秘のふくらみがたえず上下運動している。ふとももごと絡ませた激しい動きにグレイグは身も世もなく悶えた。グレイグが我慢できないように、ホメロスもこらえきれないというように腹から大笑いした。

「クッ、ハハハ! いいぞいいぞ、出せ、早くても全然かまわんからな。あの十回目のように白目をむいて水をちょろちょろ漏らすだけになっても、可愛いおまえのだ、全部全部飲んでやる……、ハッ、あっ、あンッ……、
はぁっ、ふ、ふ、はァ~ッはっははははは!」

「うあ、ホメっ、ほ、うおおぉおぉ!」

 

翌朝畑起こしに来ないグレイグを農場係たちが迎えにいこうとすると、髪をまとめ上げて日除け帽をかぶったホメロスが鍬を持って現れた。今日は私が代わりにする、と言ったいつにも増して美しい相談役に男たちは面食らったが、白い男は巨躯と比べても勝るほど化け物のような速さと力強さで大地を掻いた。

「あのう、今日はなぜ? グレイグさんはどうしたんです?」

上機嫌で肉体労働をこなす頭脳労働者に恐ろしいものを感じ、一応尋ねる者があった。ホメロスは顔を上げ、きらめく汗をさわやかに拭い前髪を払った。

「フン、腰をな、立たなくさせてやったのだ……。可愛くてな」

それだけ言って楽しそうにくつくつと笑うホメロスの様子に、下卑た想像ならお手のものの育ちが悪いごろつきたちの間に衝撃と目配せが走った。

ただでさえ得体の知れぬ知恵と魅力を持つ男にその日新たなる畏怖が追加された。そしてグレイグの望み通り、二人の関係は言葉ならずも村の者たちの知るところとなったのだった。

 

――――めでたし!

 

 

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